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安西慎太郎くんのおたくじゃない人が「カプティウス」を観劇した話

どうもこんにちは。

気づいたら年明けてから約2ヶ月たってましたね…下書きがたまっています…

 

さて。私には"推しじゃないけど芝居が好きな役者"が何人かいます。

先日、そのうちの一人である安西慎太郎くんの単独芝居「カプティウス」を観劇してきました。

 

安西くんとの出会いって特に覚えてないんですけど、「舞台K 第二章」だった気がします。

 

キャス変したのに、安西くんのやった伏見はびっくりするほど違和感がなかったんですよね…。その頃から、彼はうまいのかも、と漠然と感じていたのですが、あぁ、お芝居好きだなぁとはっきりと思うようになったきっかけは「僕のリヴァ・る」だったと思います。あれを見てから「推しが出る作品に安西くんがいたら嬉しいなぁ」とつくづく思うようになりました。

 

↑で分かる通り、万年金欠で基本的に推しが出る舞台にしかほぼ行かない私ですが、そんな私が今回安西くんの一人芝居のチケットを衝動的に取ったのは、はてブロの安西くん推しの方のブログでした

推しの決意表明を見てくれ/他 - ゆるく推す

 

なんかここに載せられてた安西くんのブログを読んで、漠然と「いきたいな」と思ったんですよね。気づいたらチケットを取っていました。

 

たぶん

・安西くんの芝居が好き

・そんな安西くんが太宰の小説を基に独白するという(自分は大学の時に日本近代文学を専攻しておりました)

・「人間失格」が底本だなんて重そう……(そんなん絶対好きだな)

・大好きな「僕のリヴァ・る」の演出助手をされていた方が脚本演出をされるらしい

・小劇場演劇が好き

・2月は暇そう(私が)

くらいの理由だった気がします。

 

前振りが長くなりましたが、端的に感想を述べますと、つまり大元の予感通り「あっ好きだわこれ」ってなりました。

 

太宰治の「人間失格」を読んだ"男"が、小説の感想を自分の生きてきた道筋を交えてただひたすら語るだけの85分間。文字にするとそれだけのことなのに、安西くんのお芝居からは「生きることへの渇望、切実さ」を全身から迸るほどに感じました。

 

圧巻の言葉数の多さ、なのに聴き取りやすくて、(さすがに噛む場面もいくつかありましたが)ともすれば間延びしてしまいそうな構成を、見事にその芝居力で成立させてしまっている。まだ20代なのに、あらためて怖い役者だなと…。

 

とくに、"男"が絶望を感じたシーン、幸せから転落した場面での語り口は、ゾッとするほど静かで、怖かった。鬼気迫る表情で観客に語りかけてくる。

目が何度かあったときは怖くて、でも目を逸らせないふしぎな魅力がありました。

 

安西くんの演じた"男"はフィクションの人物であるのに、そこはかとなく安西くんのエッセンスというか、事実も含まれているような気がする、から本当に安西くんがその男の人生を生きてきているように思えて…

 

「これは本当のことなのかもしれない」と見ていてなんども錯覚しそうになりました。特に女性関係の話とか…事実なのか…?もしかしたら、と思うと、推しならたまったもんじゃないよね、とか他人事ながら思ったり……

 

観劇前は終わった後、もっと鬱々とした気分で帰ることになるんじゃないか、と懸念していたんですが、物語の最後で「絶望するな!生きているだけで人生は素晴らしい」といったようなことを観客に言う場面があって、私はその言葉になぜか救われる気持ちでした。

 

前にも書いたことあるかもしれないんですけど、私は小学4年生の時、大した理由もないのに毎日死にたいと思っていた時期があって。それは、たぶん自分が平凡な人間ということをそのころ悟ってしまったからなんですけど、「生きている意味」を毎日自問自答して、「特にないし、私が死んでも変わらないんじゃないか」と毎日生きることに絶望していました。別に友達もたくさんいたし、成績も良かったし、運動神経も良かったし、いじめられてたわけでもなく、毎日楽しく昼休みにドッジボールしていたんですけどね。なんか人生哲学したい時期だったのかもしれません。(最終的に「どうせ生きてる意味なんかないなら、後悔のないように楽しく生きなきゃ損だな!」と超ポジティブシンキングに落ち着きました)

 

まぁそういうことを考えてた人間なので、どちらかというと太宰寄りと言うか…だから、今回の芝居の主人公が語る「『人間失格』に出てくる"男"は、感情が欠落しておりそれを隠すために道化を演じていた、それは本当に『失格』と言えるのか。真っ当な感覚ではないのか。それに共感できた"私"も『人間失格』なのか」という問いに共感できたというか…。自分が肯定された気がしました。

 

「人間らしさとは何なのか」「生きることの意味」「生きていることの素晴らしさ」あたりのメッセージが込められていたのかな。メッセージというか、あなたはどうですか、どう思いますか。という問いかけで、きっと答えはないのでしょう。何があっても前を向いて生きていかないといけないよと、背中を押された気がします。

他の方の感想でも見かけたのですが、また10年後にあらためてみたいなぁと思う作品でした。今の歳じゃ表現しきれない何かがあるのではないかと思うので、10年後はもっとさらに深みが増す気がするよ。

 

ちなみに私が観劇したのは南側(四面舞台でした。四面舞台大好き!!この時点でさいこう)のお席でした。

 

終わった後めちゃくちゃ暑かったです。2月なのに、ただ観劇してるだけで暑くて汗だくになる舞台とは……??

観客の我々が汗をかくレベルなので、安西くんはもちろん汗だくでした。終わった後にアフタートークで登壇された方に「死ぬんじゃないかと思った」と言われていた(笑)

 

なんかうまくまとまらなかったですが、今回見に行けて良かったし、安西くんの芝居の良さを改めて感じることができたよい機会でした。安西くん、ありがとう。またお芝居観に行きたいな。

 

アフタートークで「僕が好きだからとかじゃなく、『安西慎太郎の芝居なら、見てみたい』『あいつの出てる芝居は面白い』と言われるような役者になりたい」とおっしゃっていましたが、たぶんもういくらか成功してると思いますよ。

 

あー推しにも一人芝居してほしい〜(結局そこ)